財産をどのくらい保有していると、相続税がかかってくるのでしょうか?
将来、私が死んだときに私が保有する財産について相続税が課税されるのかどうか心配です。どの程度の財産を保有していると、相続税を考えなければならないのでしょうか。
ご相談者様の法定相続人が何人いるかによって、相続税が課税されるボーダーラインは異なります。まずは、推定される相続人が誰になるかなどを確認されるとよいでしょう。
相続税は、相続した財産の額から一定の債務や葬式費用などを差し引いた後の金額が、一定の額を超えるときにかかる税金です。この一定の額を「基礎控除額」といい、給与所得者にとって所得税が課税されるボーダーラインを「年収の壁」と呼ぶように、「相続税の壁」として存在します。
「基礎控除額」は、次の算式により計算した金額です。
仮に、法定相続人の数が3人であった場合には、4,800万円(3,000万円+600万円×3)が基礎控除額となります。
つまり、正味の財産として4,800万円までであれば、相続税の心配をする必要はさほどないでしょう、ということになります。
上記1.の法定相続人の数とは、通常であれば民法における相続人の数となります。ただし、次の点において民法とは異なります。
- 亡くなった方(被相続人)に養子(普通養子。以下同じ)がいる場合のその養子の数え方
- 実子がいる場合……その養子のうち「1」人までを含める
(例)実子1人、養子3人の場合:実子1人+養子1人=2人 - 実子がいない場合……その養子のうち「2」人までを含める
(例)実子0人、養子3人の場合:実子0人+養子2人=2人
- 実子がいる場合……その養子のうち「1」人までを含める
- 相続人が相続の放棄をしても、その放棄がなかったものとして数える
(例)子Aと子Bのうち子Bが相続放棄した場合:相続人は子Aのみ、法定相続人の数は「2」人(子Aと子B)
以上のことから、まずは、ご相談者様の法定相続人が何人になるかを推定し、正味の財産の額がどのくらいが自分にとっての相続税の「壁」になるのかを知るとよいでしょう。ちなみに、実際に相続税がかかった方の割合は、被相続人の数に対して9.9%でした(令和5年分)。
なお、相続税の計算においては、課税されないものや、一定の方については税額を軽減してもらえる制度などがあります。また、財産の評価方法についても一定のルールがあるため、試算される際には注意しましょう。
相続税の計算について詳しくお知りになりたい方は、お気軽に当事務所までお問い合わせください。
<参考>
国税庁HP「No.4152 相続税の計算」「令和5年分 相続税の申告事績の概要」
財務省HP「親が亡くなりました。遺産を相続する場合にどのような税金がかかるのですか?」
本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。
- 仮想通貨(暗号資産)と相続税2025/04/05
- 役員ではない後継予定者と事業承継税制[7年度税制改正]2025/03/05
- 名義預金と指摘されないために2025/02/05
- 住民票の異動と宅地の評価減2025/01/05
- 土地の分割と評価単位2024/12/05
- 相続時精算課税の選択と贈与税の申告2024/11/05
- 契約者貸付金とみなし相続財産2024/10/05
- 他の相続人の判がもらいづらい場合の相続税申告2024/09/05
- まだ役員ではない後継予定者と事業承継税制の適用2024/08/05
- 海外在住の日本人が相続人となった場合2024/07/05
- 相続と財産債務調書2024/06/05